愛知の障害者有志10名は9月27日、自公政権に終止符をうち、障害児者の命輝く社会の実現のために愛知県内の小選挙区での野党共闘の取り組みへの要望と障害児者政策への要望をまとめ、立憲・共産・社民にとどけました。
以下はその要望です。
自公政権に終止符をうち、障害児者の命輝く社会の実現のために
愛知県内の小選挙区での野党共闘の取り組みへの要望と
障害児者政策への要望
9月8日、市民連合が要請した衆議院選挙をたたかう基本的な政策項目について、野党4党(立憲民主党、共産党、社民党、れいわ新選組)がこれを受け入れ、各党党首が合意文書に署名しました。
私たち障害児者に関わる者として、合意を歓迎し、この愛知県においても合意に基づき野党の共闘の力で自公と補完勢力を少数に追い込むための取り組みを強く要望します。
個人の自助努力や家庭・地域での相互扶助を基礎とした「日本型福祉社会の実現」をかかげた自民党政治は、2000年社会福祉制度を措置制度から契約制度に、応能負担から応益負担に転換しました。2005年には障害者自立支援法を制定し、障害者に対する福祉サービスを一元化するとして、サービスの利用に際し利用者に応益負担(原則1割)を課しました。その後、政権の推移はあったものの、安倍菅自公政権は障害を自己責任・家族責任とする社会保障制度の「自助→共助→公助」を強めました。
こうした中で、障害児者・家族は限界まで自助・相互扶助を行ってきています。障害児の母親は「この子を産んだ私の責任」と年齢を重ねても「この子が死ぬまで死ねない」と世話をしつづけているのにもかかわらず、自公政権はあたかも当然視し、障害児者・家族の実態に向き合って来ませんでした。
障害者・家族が唯一頼りにしていた「ヘルパー」や「施設職員」不足が深刻化し、障害児者の「暮らし」に危険信号が点滅しています。愛知県がおこなった平成30年度重症心身障害児者実態調査では、在宅で母親が介護をおこない介護者の最年長は 91歳、平均年齢は 53.5歳と、介護者と障害当事者の高齢化は顕著です。
名古屋市でも、平成28年におこなった障害福祉サービス等の利用に関するアンケート調査では、主な介護者の年齢の70代以上が11.7%と、介護者と障害当事者の高齢化が進んでいます。また、2020年度「介護労働実態調査」介護職に占める65歳以上の割合は12.3%。職種別ではホームヘルパーが最も高く、およそ4人に1人の25.6%です。最近注目されているヤングケアラー問題は家族依存の介護にあります。支援が必要な高齢者・障害児者、家族の「暮らし」は赤信号です。
赤信号を脱し、障害者権利条約に基づく、障害児者の「いのちと暮らし」を守る政策に転換するためにも、野党共闘を進めるとともに、障害者政策に以下の要望を組み込んでください。
【障害児者政策への要望】
1.野党共闘は障害者・児と家族の「いのちと暮らし」に向き合い、「自助、共助、公助」路線を転換し、命を守る介護、福祉の分野で「応益負担」を撤廃すること。当面、介護・福祉サービスの利用料などをなくすこと。
2.家族依存型の障害者施策を早急に見直すこと。
①年齢による介護・福祉・医療サービスの利用格差をなくすために、障害児から高齢障害者までの切れ目のない福祉・医療制度を創設すること。
②当面、障害者総合支援法の第7条(介護保険優先原則)を廃止し、介護保険・自立支援給付のどちらかを障害者本人が選択できるようにすること。
3.介護保険制度における保険料負担を大幅に軽減すること。
4.障害乳幼児への健診・相談にあたる母子保健体制の強化のため保健師の増員を図ること。児童発達支援センター・保育所等の福祉の場の職員配置基準を改善し、子どもの発達を保障すること。
・障害児の通常学級での教育を進めるための障害児補助員を常勤職員として確保すること。強度行動障害など障害が重い児童生徒は3 人1学級で編制できるようにすること。教職員不足を解消する施策をとること。
5.障害者の勤労の権利が保障されていない。少なくとも障害者差別といえる最低賃金法で最低賃金の減額の特例とする「第七条 一 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者」を廃止すること。
6.公的責任で、働く機会の保障、賃金の保障及び職場・地域における障害者差別の禁止を徹底する方策をとること。
7.福祉労働者の処遇改善は喫緊の課題だ。報酬を国家公務員の福祉職俸給表にもとづいたものとすること。
8.施設利用の日割りをやめ、月額払いにすること。小規模法人には、運営費補助などをおこなうこと。
9.障害児者の介護に専念せざるを得ないために家族が働きたくても働けない。勉強したくても、友人を作りたくてもできない兄弟姉妹。ケアの家族依存を抜本的に見直し、国の責任でケアの保障や家族への所得も含めた保障をおこなうこと。
10.障害基礎年金、特別障害者手当の引き上げ等、障害者が安心して健康に暮らせる「所得補償制度」を早急に確立すること。